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旅のはじまり 26

 投稿者:珠実  投稿日:2012年 6月 9日(土)18時23分58秒
  ケーキと珈琲を交互に食べては飲んで悦子はハタと気が付いた。
(帰らなくては・・・)
綺麗に平らげて徐に席を立ちレジで支払いを済ませ螺旋階段を降りた。
あの女性はカウンターに座っていた。
気に留めながら悦子は喫茶店を出るとスタスタ歩いた。

公園の中に入り新鮮な緑の香りとざわめく葉の音を聴きながら公園を歩いた。

つづく

                                    

 
 

旅のはじまり 25

 投稿者:珠実  投稿日:2012年 3月29日(木)22時57分17秒
 
あの女性は (妖艶?それとも神秘的?)
悦子はそんなことを脳裏に霞めながら
ぼんやり原田という人物のことを考えはじめていた。
(どうしたのだろう・・・何故来なかったのだろう
何故連絡もなく・・・何故? 何故?)

悦子は 今日もブレンドとチーズケーキにした。
ホテルでケーキセットを食べたことなどすっかり忘れていたのだ。

混乱していた。訳も分からずに自分はいったい何をしているのだ。
こんなことをしている暇など無いのに・・・
失業中だというのに・・・
だが、待てよ 今だからこそ良いのだ。
仕事が決まったらこんなことなどしてはいられない。
慣れるまでに時間が掛かるだろうし、何も出来なくなる。
だから、今だから良いのだ・・・

帰宅したら また電話をしてみよう。

悦子はそう決心するとまた心が落ち着いた。
珈琲カップをゆっくりと口元に運んだ。
チーズケーキはマスターの手造りである。
まろやかでしまっている。
そんなチーズケーキが悦子のお気に入りなのであった。

 つづく

                                    

 

旅のはじまり 24

 投稿者:珠実  投稿日:2012年 3月28日(水)10時59分39秒
 
「いらっしゃいませ」マスターの声が店内に響いた。
この時間帯に喫茶店に入ってくる人はビジネスか待ち合わせ、そして悦子のように
疲れた足を休めに来る人等である。と、悦子はそう思い込んでいた。

喫茶「葡萄」は朝8時~夜9時までとなっていた。

悦子の住む場所からはゆっくり歩いて30分 少し早めに歩くと15分くらいである。
駅に行く前、駅からの帰りに立ち寄るには調度良く眺めも異国的なのであった。

モーニングの時間から13時まではマスターとアルバイトの主婦らしき人が1人で
充分な広さである。
午後からはマスターが1人でカウンターとホールを出入りをして、
18時には学生のアルバイトが姿を現していた。
毎週水曜日が休日のようである。

日常の中で何気に把握している喫茶「葡萄」の一日とその店の雰囲気は
マスターの人柄が行き届いているようにも見えた。

あの女性は入ってくると同時にカウンターの椅子に腰を下ろしていた。
悦子の席からは後ろ姿が見えた。

マスターと何らか話て居る。
親しそうである。
知り合いなのだろうか・・・


   つづく

                                    

 

旅のはじまり 23

 投稿者:珠実  投稿日:2012年 3月27日(火)18時42分26秒
  電車から降りてから悦子の足は喫茶店「葡萄」の螺旋階段を登っていた。

2時間もホテルのラウンジに居たにも関わらずに悦子は休みたかった。

いつもの席は空席・・・一瞬(しめた)と思った。
まだ、仕事帰りの時間には早かったせいであろう。

マスターはお冷をテーブルに乗せながら
「いらっしゃいませ。ブレンドでよろしいですか?」と
尋ねた。悦子は大きく頷いた。

何気にガラス張りから見える公園を眺めていたら、いつかの女性がベンチに座っていた。
すると、立ち上がりこちらの方に歩いて来た。

悦子は目を逸らし、見えないフリをした。

喫茶「葡萄」のドアが開いて、あの女性が入って来た。

つづく

           

 

旅のはじまり 22

 投稿者:珠実  投稿日:2012年 2月 1日(水)00時37分14秒
 

携帯電話を読書の間もテーブルの前に置いておいた。

席を立ち上がると同時に携帯を手にすると着信音である。

即座に画面を見たか゛驚いたことに非通知である。

(原田が非通知にするはずがない。間違い電話であろうか・・・)

悦子は携帯を鞄に入れずブレザーコートのポケットに入れた。

電話が鳴ったときに気が付かないといけないと思ったからである。

レジで支払いを済ませると大股でガラスの重いドアを開けコーヒーラウンジから出ると

ホテルを後にして、駅の方面に歩いた。

怒りは無かった。読書に満足し、ケーキセットに満足し、華やかな雰囲気に満足していた。

むしろホテルへ着く前よりも 悦子の気持ちは晴れ晴れとしていたのだ。

    つづく




 

旅のはじまり 21

 投稿者:珠実  投稿日:2012年 1月30日(月)22時41分39秒
 

この優雅な雰囲気・・・
テーブルも椅子もロココ調・・・
コーヒーカップを手に取りながら何気さを装い辺りを見回した。
コーヒーラウンジは商談が多い。
こんな時間に旅行者は見学に勤しんでいるであろうことは予想がついた。
ゆったりと流れている時間をかみ締めるように席を立つと携帯の音楽が鳴った。

  つづく
 

旅のはじまり 20

 投稿者:珠実  投稿日:2012年 1月23日(月)20時22分24秒
編集済
 

悦子は文庫本「ケルト神話の世界 上」を読み続けていた。
眼が疲れて読み掛けのページに栞を挟み顔を上げた。

時計をみると15時を過ぎていた。
一杯のコーヒーで2時間も居たことになる。

ホテルのラウンジは静かだった。
広々として席の間隔は空いている。

隣の席の話し声は聞こえても いや、聞こえなかった。
悦子には、聞こえなかった。
本を読み始めると夢中になってしまい、周りの声など気にならない。
それでも時折思い出したかのようにガラス越しに外を眺めたりもした。
携帯も鳴らない。
後は読書に専念することに決めたのだった。

悦子には何時間待たされたとて時間の無駄にはならなかった。
(そうよ。こんな快適な場所で本を読むのも良いものだわ)

ウエイターが近くを通り過ぎようとした時に目で合図をして席に呼ぶと
「ケーキセット」をオーダした。
(これを食べたら帰ろう・・・)
悦子は読書を終え気分は充実していた。
そこで、ラウンジの雰囲気を楽しむことにしたのだった。

もう考えない。
原田さんとやらがどんな用件で、何故現れなかったのか・・・
考えるのを止めた。
心配するのも止めた。
元々見ず知らずの方なのだから・・・

オーダーした「ケーキセット」が運ばれるとその器に釘付けになり、
悦子はじーっと眺めた。
クリームチーズケーキのソーサとコーヒーカップのデザインもセット。
正に「セット」洒落ている・・・悦子は微笑んだ。

   つづく
 

旅のはじまり 19

 投稿者:珠実  投稿日:2012年 1月21日(土)22時22分51秒
編集済
 

待つのは嫌なものだ。始めて会おうとするその日に遅れて来る。

いや連絡さえも付かないのだ。約束の時間からすでに30分は過ぎている。

携帯も呼び出し音だけが悦子の耳元で鳴っていた。

しかも、原田からの申し出でだったはず、(何か、遭ったのかもしれない。)

悦子の今日の予定はこの為に取りやめたのだからもう少し待つことにした。


悦子は鞄から読み掛けの文庫本を取り出し読みはじめた。

友達や知人と待ち合わせる時は早めに来ていつも本を読んでいた。

しかし、今日のように初対面で、それも用件も分からずに人と会うのは

悦子にとって始めてのことである。


本を読んで集中して気が付かなかったらと思うと

文庫のページを捲っても落ち着いて読めるものではなかった。

(着いたらあちらから携帯に電話をしてくれるに違いない)

そう自分に言い聞かせると、幾分気持ちが楽にり本を読むことに専念することにした。


(後、30分待とう 一時間待っても来なかったら帰ろう)

つづく

 

旅のはじまり 18

 投稿者:珠実  投稿日:2012年 1月20日(金)17時23分18秒
編集済
 

ホテルのロビーの横にはラウンジがある。
そこに入ろうと立ち上がった時、広いガラス張りの入り口から入って来る一人の青年と目が合った。
悦子は(もしかして・・・)
と思うや否やニコニコと笑顔を向けながら片手を上げて悦子の方に歩み寄って来た。
が、悦子を素通りして他の3人の男性のところスタスタと行ってしまった。
(フー 人違い・・・商談ね。)
ロビーの時計は13時である。
悦子は鞄から携帯を取り出して今朝登録しておいた原田の携帯のベルを鳴らした。
2度3度鳴り続けるが原田からの応答はない。
(今頃こちらに向って歩いているかもしれない。きっと携帯の音に気が付かないのかもしれない)

悦子はラウンジに入り表側のガラス張りのある席を見つけて座った。
その席からは駅からこちらに向って歩いてくる人の姿を見る事が出来た。
(それにしても携帯をすることは承知のはず・・・)
ウエイターがお絞りと水を運んでオーダーを取りに来た。
珈琲を注文すると再びガラス張りから駅方面から来る人を眺めていた。
珈琲はすぐに運ばれ柔らかな香りがした。
悦子は安堵しつつ珈琲カップを口に運んだ。

つづく
 

旅のはじまり 17

 投稿者:珠実  投稿日:2012年 1月17日(火)23時56分4秒
 

 悦子はロビーのソファに座っていた。
品川のプリンスホテルに着いたのは13時15分前だった。
約束の時間より早く行くのが悦子の習慣といっても過言ではない。
途中で何かあるといけないから・・・これが悦子の足を速める理由である。
15分前はどちらかと云えば遅いほうである。

悦子は時計を見た。ぎりぎりに来るのであろうか・・・
時間と同時に携帯を鳴らすことになっている。が、まだ早い。

久しぶりのプリンスホテルは悦子にとって懐かしかった。
悦子の勤務先はこのホテルからほど遠くないところにあったからだ。
悦子の脳裏には退職した会社のことがくっついて離れないでいた。
表向きは清々したかのごとくに振舞ってはいたが心中は穏やかではなかった。
(ああ!)深い溜息が口をついて出てしまった。
(いけない!)悦子は慌てて辺りを見渡した。

           つづく



 
 

旅のはじまり 16

 投稿者:珠実  投稿日:2011年11月11日(金)18時01分0秒
編集済
 

「あの・・・先ほどの野田ともうしますが」
「ああ 原田です」
歯切れ良い声が聞こえた
「今日のご都合は如何ですか?出かけようと思いましたが気になったものですから・・・」
原田は応えた
「そうですか 申し訳ありません」
「場所は品川駅の近くで如何でしょうか?原田さんのご自宅も存じませんが遠いですか?」
「いや 良いですよ じゃあ品川のプリンスホテルのロビーにしましょうか」
原田の歯切れの良い声が響いた。
「えーと じゃあ 時間は午後一時は如何ですか?」

ロビーで原田に携帯を入れることにして、
場所は即座に決まり悦子は幾分ほっとした。
(何だろう この安心感は・・・)
それにしても品川などとつい口走ってしまったことを後悔していた。
悦子の住む自宅からは近くはなかった。咄嗟に品川と云った自分に腹が立ってきた。

今日のやるべき家事は一通り終わっていた。
外出の準備も出来ているが近くないといっても約束の時間には早すぎる。

つづく

 

旅の始まり 15

 投稿者:珠実  投稿日:2011年 7月 9日(土)16時14分19秒
 

悦子は受話器を置くと洗濯機から洗濯物を取り出した。
ベランダで洗濯物を干しながら考えていた。

このまま予定通り外出すべきか否か・・・
何故か気が重いのか・・・それが何故なのか?
何なのか?・・・

家事が全部終わったらあの原田さんに電話をしてみよう。

掃除機が終わり拭き掃除と水回りの掃除を終えた。
悦子は身だしなみを整えてから原田に電話を入れた。

   つづく

 

旅の始まり 14

 投稿者:珠実  投稿日:2011年 7月 6日(水)23時23分10秒
編集済
 

(どうしたものか・・・)

「申し訳ございません。突然でしたものですから考えが纏まりません。
少しお時間頂けませんでしょうか」

電話の向こうでも考えている様子が窺えた。

双方とも暫く無言が続いた後最初に原田が口火を切った。

「では、もう一度改めてお電話させていただくことに致しましょうか?
それとも僕の電話番号をお知らせしますので、ご都合の良い日時が決まりましたら
ご一報いただけるとあり難いんですが・・・」

悦子は安堵した。「そうします。」悦子は電話の横にいつも置いてあるメモ用紙を
右手で手前に寄せてメモ用紙のそばに置いてあるペン立てから鉛筆を取り出した。

「どうぞ、電話番号をお願いします。」
「では・・・」原田は悦子に「念の為」と言い携帯番号と自宅の電話番号を伝えた。

悦子は「今日、明日中にはご連絡致します。」と言うと受話器を置いた。
(さあ、準備)とは言うものの外出するには気分が重くなりはじめていた。

   つづく

 

旅の始まり 13

 投稿者:珠実  投稿日:2011年 6月28日(火)02時38分9秒
編集済
 
天気予報である。
今日は一日晴れのマークが付いていた。
(日陰ぐらいが調度良いのに・・・)
別のチャンネルはニュースに切り替わり昨夜の事件である。
やり切れなさにリモコンでテレビを消した。

悦子は新聞の三面記事をも読むことは無かった。
気分が重くなるからである。

また昨夜の電話のことを思い出す。
(私は野口悦子そして、昨夜の原田さんとかおっしゃる方が
電話をしようとしていた人は野田悦子とでもゆうのかしら?)
忘れようとCDのボルュームをUPした。

すると電話が鳴った。すぐにボルュームを下げて電話に出た。
「もしもし」
「もしもし・・あの 朝早くからすみません。原田と申します。」
「ああ 昨夜の方ですか?」
「はい、そうです。実は突然ですが聞いて頂きたいことがありまして・・・」
「でも、私は野田ですが?野口ではありませんが?」
「そのことですが、実は確かに野口さんと申しましたが曖昧なものですから、
お会いしてお話できればと思いましてまた、こうして朝早くからご迷惑とは思いましたが、
お出かけされる前にと思い勝ってですが、お電話させていただきました。」

「今日は予定がありますが、簡単にお電話でお聞かせ頂く分けには参りませんでしょうか?」
悦子は丁寧にゆっくりと原田に尋ねた。
「・・・・」
原田は考えているようだった。
「そうですよね。見ず知らずの者から突然電話をされて、突然会いたいとは・・・
さぞかし驚かれていらっしゃるかと・・・」

「私もお尋ねしたいのですが、この電話番号を何処でお知りになりましたか?」
悦子は気になっていた質問を切り出した。

「それも含めてお会いした時にお話するということで如何でしょうか?」
「では、私の住所もご存知なのですか?」
「はい 知ってます」

「そちらのご予定はいつがよろしいのでしょうか?」
「野田さんの予定に合わせます。仕事もありますので前もって日時が分かれば、調整いたします。」


    つづく





  
 

旅の始まり  12

 投稿者:珠実  投稿日:2011年 6月19日(日)14時18分54秒
編集済
 
朝の目覚めはすこぶる良い。
昨夜はお風呂から上がるとすぐに寝床についた。
やはり、早寝のお蔭だろうか。
悦子は横になったまま仰向けに背伸びをした。

ベッドから起き上がると縁側のカーテンを開けベランダの戸を開けた。
眩しく爽やかな光と朝の風の心地好さ・・・

軽やかな気分で軽やかにパジャマから普段着に着替えベットを整えた。
今日の予定は・・・・と 今は7時か・・・
悦子は考えるのをやめた。
せっかくの快適な気分が吹っ飛んでしまいそうになったからだ。
しばらく・・・この気分を味わっていたい。

今日は快晴になりそうである。そうだ鎌倉に行こう。
江ノ電に乗って由比ガ浜に行き・・・海を見に行こう。

出発は10時・・・遅いかな?
出発の時間を意識すると、色々と雑多なことが片付く。
まずは洗顔である。
次に洗濯機に洗濯物を放り込んでと・・・
そして、ミュージック、そして珈琲・・・
ここまではいつもの悦子の定番なのだった。
普段と違うことはテキパキと行動することが出来たというだけのことである。

次は掃除・・・しんどい。

悦子は珈琲カップを片手にテレビのスイッチを入れた。

  つづく




 

旅の始まり  11

 投稿者:珠実  投稿日:2011年 6月15日(水)13時17分33秒
 

電話の音楽が鳴った。悦子は電話の音はビバルディを入れていた。

それでも悦子はギクリとした。物思いに耽るとすべてが蚊帳の外である。

「もしもし」悦子は受話器を手に取る。

「もしもし 原田と言いますが・・・野口さんのお宅でしょうか?」

「いいえ 違います。野田と申しますが?」

「えっ? 野口さんとは違いましたか?」

「はい 野田です。」

「・・・・」

「あの・・・今日 何度かお電話を下さった方でしょうか?」

「はい 何度もかけさせていただきましたが・・・どうも 失礼しました。」

「お間違いのようですね。」

悦子は受話器を置いた。間違い電話?何度も掛けて間違い電話とは・・・

「ふーっ」悦子は溜息をついた。

(9時か・・・人騒がせな方 それにしてもその野口さんとやらに何のようなんでしょうね。)

それにしても、あの原田という男性の消失した雰囲気が悦子にも伝わって来ていた。

(少し事情を聞いてあげたら良かったかしら・・・)

そんな思いを跳ね除けるようにスタスタとお風呂場に行きシャワーを浴びた。

  つづく


 

旅のはじまり  10

 投稿者:珠実  投稿日:2010年11月 6日(土)16時30分23秒
編集済
  椅子に座って寄りかかりボーッとしたり、頬杖をついたりと、いつもの悦子のポーズである。(ああっ駄目!思いだしたくもない。)
そう思っても、次から次と走馬灯のように思い出されてくる。

そんな自分と戦う毎日である。時計は8時、(そろそろ掛かってこないかなあ)これでは、何も手につかないではないか。

理由は電話のせいで無い事は、分かっている。(それにしても、何だろう。何の用があるというのだろう。それにしても、あの女性はあの時間どうして、あそこに座っていたのかしら。私のように失業しているのかしら、それとも、誰かと待ち合わせかしら。)

黒ずくめの格好は神秘的に見えた。(それと、マスターが言っていたコンサートって、そうそうライブね。今度行ってみようかなあ。今度のライブの日は・・・)と鞄から手帳を取り出した。隔週だから、と頁を捲った。

来週の土曜日は予定など無い。分かっていた。でも、手帳を見たり、書いたりするのは、悦子の習慣になっている。

(こんな気分の時はライブに行って美しいピアノ曲を聴くのも良いかもしれない。ちょっと贅沢かな?気分を晴らす為には、必要なことだわ。)
 

旅のはじまり 9

 投稿者:珠実  投稿日:2010年10月30日(土)15時05分58秒
編集済
  悦子が住むアパートは1階が玄関と10帖ほどの居間、トイレ、台所、
2階はロフト風の10帖の寝室、風呂と洗面台、そして、
洗濯機置き場である。1階と2階は同じ場所にベランダがある。
開放的で、人目で気に入り、引っ越して3年目に入ろうとしている。

だが、と悦子は考える。
(ここの家賃は決して安くはない。
失業した今、支払える期間は知れている。
でも、仕事への意欲が湧いてこない。)

翻って、就職活動もままならず、さすがに暢気な悦子も焦り始めていた。
上下をトレーナーに着替えてシャワーをしようと無意識のうちに
風呂場に行き、ハタと足が止まった。

(そうだ、電話が来るかもしれない。シャワーはその後だ。)
悦子は回れ右をして、そのまま階段を降りて、机の前の椅子に座った。
 

旅のはじまり 8 

 投稿者:珠実  投稿日:2010年10月24日(日)12時15分11秒
編集済
  1件目  「もしもし 原田といいます。また、電話します。」
      ツーッツーッ 12時30分

2件目  「もしもし」 15時32分

3件目  「もしもし 先ほどの原田といいます。
     また、電話します。」16時13分

4件目  「度々、すみません 戻りましたら、電話下さい。
     あっ、イエ また電話します。」 17時15分

5件目   ツーッツーッ  18時5分

(最後はついさっきだわ・・・)
いつの間にか、暗くなっていた。すっかり 日が短くなった。

(秋なのね。どなたかしら・・・まあ、また、来るでしょうけど、
それにしても、聴いたことのない声。)

悦子は留守電を解除して、寝室に入り、普段着に着替えをした。
 

旅のはじまり 7

 投稿者:珠実  投稿日:2010年10月23日(土)07時50分53秒
  アパートの入り口には電燈が輝いている。
入り口のドアの鍵を開けて玄関に入った。
いつもどおりの玄関が悦子を待っていたかのようである。

ほっとする一瞬であったと同時に寂しさが込み上げて来た。
暗がりの居間に入り、鞄を床に置いて、ソファに座った。

机の上に置いてある電話が赤々と点滅しているのが目に入った。
重い腰を一機に上げて、部屋の明りをつけ机の上に置いてある電話の再生ボタンを押した。

電話が来ることは殆んどといってよい程皆無である。
友達や知り合いならば携帯に掛かって来るはず。
5件・・何だろう。悦子は受話器を取り、留守電を聞いた。
 

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